リーマン仮説(リーマン予想)を納得する方法 ver 3




普通、証明というのは「事実上正しいと認定されていることを証明する」のではないでしょうか。三角形の内角の和が180度であることは、古代から多くの人により正しいと認められてきました。しかし、証明されたのは古典ギリシャ時代になってからのことです。証明は事実認識とは別で、まずは事実認識があり、それから証明が完成します。リーマン仮説の場合は、まだ「事実上正しい」と認定されているわけではないようで、反証の可能性を認める人がいます。それにも関わらず証明にトライすると言うことは、手順前後の誤りがあるとも言えます。まずはリーマン仮説が疑う余地のない正しい定理であることを認識して、その上で証明に取りかからなければなりません。ですから、「リーマン仮説が事実上正しい」ということを納得できるようにすることは、いまだ少しは意義のあることではないかと考えます。

以下の説明では、リーマン仮説が正しいことをいくつかの角度から説明してあります。証明ではないので、直感にたよるやり方を使っていますが、これでリーマン仮説の反証を見つけようという試みがいかに無意味であるかがわかっていただけることと思います。リーマン仮説を疑う余地はまったくありません。あとは、これをいかにして証明するかという問題が残るだけです。




■    リーマンの零点を図示します。


まずは素朴に、リーマンの零点の場所を調べてみることにします。その結果を図示して、それがa=0.5とb=0上にしかないことがわかればよいはずです。

リーマン零点の計算方法は、別ページで説明してありますが、ここでその要点だけ再述しておきます。一般にはまだk(x)がリーマンの零点を求める式であることが認識されていないのですが、実際に計算してみれば誰でもこの式の正しさを認識することが出来ます。

k(x)はゼータ関数によって定義されます。つまり、
Σ1/n^r = k(r)-1/(r-1)/n^(r-1) + 1/2/n^r - r/12/n^(r+1) + 0 + r*(r+1)*(r+2)/6!/n^(r+3) + 0 + .....
ということです。これについては第5の広場でさらに詳しく説明しているので、そちらを参照していただければと思いますが、いわゆるゼータ関数の定数を求める式です。

普通、この定数はx>1で定義されていますが、上記の公式を使うとx<1でも計算可能となります。マイナスでも求められます。複素数a+biとして計算することもできます。そして、この複素数のとき、k(a+bi)=0となる点がリーマンの零点ということです。

さて、このk(x)の式を使ってリーマンの零点を探してみます。具体的計算方法については、別ページ「リーマン仮説と零点の計算方法」を参照してください。

複素数a+biを複素平面と見なし、z1+z2i=k(a+bi)とすると、z1をZ軸とするXYZ座標、z2をZ軸とするXYZ座標というふたつの空間を想定することができます。k(x)の実部はXYz1座標上の点として表すことが出来、虚部はXYz2座標上の点となります。


実零線の図
そこでまずはXYz1座標を考え、実部の点を分析します。すると、実部の点が空間上に波のようになっていることがわかります。その波とz=0上のa+biの複素平面との交点が実部の零点となります。その交点が図の上では線として現れるので、それを青線で表現してみます。虚部も同じようにz2=0の複素平面との交点が零ということなので、これを赤線で表現してみます。実部と虚部がともに零のところがリーマンの零点ですから、青線と赤線の交点が答えになります。

右図に於いては、実部が零となるところを青線で示しています。けっこうたくさんの線がありますが、綺麗に並んでいます。






虚零線の図
次の図では、虚部が零であるところを赤線で示しています。この赤線もずいぶんたくさんあります。
























実虚零線の図
青線と赤線の交点がリーマンの零点です。そこで、ふたつの図を重ねてみました。青と赤がどこで重なるかは図を見ればわかります。ただ、一部、色がかすれたところもあるし、線もたくさんあるので、実際はさらに詳しい図が必要になります。しかし、だいたいのところ、a=0の線の近くとb=0の線上にあることがわかります。a=0の線の近くというのは、さらに詳しく観察するとa=0.5の線上であることがわかります。それ以外のところに零点がないというのがリーマン仮説です。はたしてそのことがこの図からわかるでしょうか。











■    1/k(x)の図


上記の説明ではk(x)の図をそのまま使いましたが、これではあまりに線が多すぎてわかりにくいと思うのは私だけではないはずです。何とかもっと簡単な説明はないかと考えたのですが、1/k(x)の図を使うことを思いつきました。k(x)の零点は1/k(x)では必ず無限点になるはずです。ですから、1/k(x)の図を書いて、そこで無限点がどの程度現れやすいかを確認してみることにしました。



(14.01.17)以前に書いた注は廃止します。 

1/0=∞ というのは良いとして、1/(a+bi) で a=0, b=0 のとき、はたして無限になると言えるかどうかの問題は、計算上、どうやっても無限にしかならないことは明らかです。しかし、それを証明しようとなるとうまくいきません。このページは「リーマン仮説を納得する」ためのものなので、面倒な証明問題は横においておくことにします。

ちなみに、1/(a+bi)=∞ を証明しようとすると、(a-bi)/(a^2+b^2) = a/(a^2+b^2) - b/(a^2+b^2)*i と変形する過程で 0/0 が発生します。これを∞と認定することは出来ません。

そもそも、a=0 かつ b=0 でなくても無限になることに気がつかなければなりません。a, b のいずれかが0のときは、1/(a+bi)は無限となります。この場合の証明は可能です。a=0 のとき、0/b^2-b/b^2*i となり、∞-i/b となります。これは無限です。また、b=0 のとき、1/a-0/a^2*i となり、1/a-∞*i となります。これも無限です。ゆえに、a, b どちらが0であっても、1/(a+bi) は無限となります。

残る問題は、a=0 かつ b=0 のときに 1/(a+bi) がどうなるかと言うことです。無限になることは間違いありませんが、それをどう証明するかということです。簡単に出来そうな気もするのですが、今のところ思いつきません。





複素数に於いてはa+biの a もしくは b が無限であるなら、1/(a+bi)は零になります。ですから、1/k(x)の図で、aかbが無限であるならk(a+bi)は零点となるということです。もしk(x)に零点が無いなら、1/k(x)には実部の無限点も虚部の無限点も存在しないことになります。
そこで、1/k(x)の図を描いて見たところ、無限点が存在しないどころか、無限点に接近する場所もないことがわかりました。a=0.5, b=0 上以外には、実部の無限点も、虚部の無限点もまったくないことは一目瞭然です。そのことを以下の図で確認してみていただければと思います。

HPでは、空間を立体的に表現できないので、輪切りにして書いてみました。また、値が大きいと図からはみ出してしまうので、Z座標についてはarctanで小さくしたものを使うことにしました。つまり、z=50のときは、z=2*arctan(50)/piとなります。これだと無限大がz=1として描かれることになります。

ただ、このままですと極小部分が大きく表示され、無限大の箇所が強調されなくなります。そこで、1/k(x)を10で割った値を使うことにします。無限の箇所は10で割っても無限ですが、20程度の数だと2として表示されます。つまり、先ほどのz=50を例として説明しますが、まずはz=50/10とします。次にz=2*arctan(50/10)/piを計算し、それをもとに図を描くことになります。

図として描く範囲は、横軸(Y座標)がb=0からb=20まで、縦軸(Z座標)がarctanで処理済みの値です。X座標にあたるaの値ごとに順番に並べてみます。a=-2, a=-1, a=0, a=0.2, a=0.4, a=0.45, a=0.5, a=0.55, a=0.6, a=0.8, a=1, a=2 。全体が連続していることを考えると、これでだいたいの全体構造が掴めるのではないでしょうか。

b=20以上の図は描いていませんが、必要なら追加することができます。だいたい同じような図形が出てくるのであまり必要ではないと判断しました。k(a-bi)=k(a+bi)なので、bがマイナスのところは省略します。


1/k(x)の図

実部を青、虚部を赤で示しています。

右の図は、a=-2のときの1/k(x)の姿ですが、もし実部か虚部が無限になるところがあれば、そこがリーマンの零点となります。しかし、そのような点は、b=0を除いて、ひとつもありませんし、b=20以上でもありそうもありません。








1/k(x)の図


a=-1の図です。

b=0の値は振動しています。a=-1では波の真ん中なので有限な値になりますが、a=-2,-4,-6 の場合は、プラスかマイナスの無限の値をとります。

b=10あたりでの波のうねりが少し出てきていますが、全体的に見て零に近い値しかないので、b=20より上でも無限点が現れるようには思えません。







1/k(x)の図

a=0 では、ようやく波の形がはっきりとしてきましたが、無限点に近づくようなところはどこにもありません。






















1/k(x)の図


a=0.2では、少し波が大きくなります。























1/k(x)の図


a=0.4 では、波の形が盛り上がり始めています。b=14あたりの詳細図を作ると判りますが、実部も虚部もひとつの波としてつながっています。

実部は落とし穴のように突然落ち込む形になっています。虚部は右肩上がりの曲線が突然マイナスまで落ち込んで、また右肩上がりで上がり始める形になっています。










1/k(x)の図


a=0.45では、波の高さもだいぶ高くなり、無限に近づいていることが判ります。





















1/k(x)の図


a=0.5では、波の頂上が完全に無限点に達していて、波が切れてしまっています。ここがリーマンの零点であり、b=14.134という数値も一致しています。

実部の波が切れていて、盛り上がる方向が変わっていることはとても重要です。

このような無限点は、b=20以上でも繰り返し現れます。









1/k(x)の図


a=5.5では、無限点が消滅し、実部の波がプラス方向に盛り上がるようになります。






















1/k(x)の図


波が少し小さくなります。


























1/k(x)の図


波がだいぶ小さくなります。
























1/k(x)の図


波が消えかかっています。

























1/k(x)の図


波が消えてしまいました。このような図の中に無限点を探す意味はありません。




















1/k(x)の図


参考までに、縦にに切った図を載せておきます。b=0のとき、aがプラスの方向に増大すると、高さは1に収束します。無限になることはありません。

虚部はすべてk(x)の値が0なので、特異点となってしまいます。値がないので表示できません。










1/k(x)の図


b=0で、aがマイナスの方向に増大するとき、aが偶数のところで無限大になります。ここがすべてリーマンの零点となっています。

虚部はすべて特異点なので、表示できません。















以上の図から、無限点がa=0.5とb=0上にしかないことは明らかです。ということは、k(x)においては、零点はa=0.5とb=0上にしかないということを示しています。










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