マイナス・ゼータの値 (?)


「マイナス・ゼータの値がおかしい」などと発言すると、数学の専門家たちから寄ってたかって批判されるでしょうが、仕方ありません。どうしてそのような結論になったのかを以下に説明しておきます。

オイラーさんや、リーマンさんの大先生に楯突くのですから、お叱りを受けることは重々承知しております。ただ、ど素人の私のような人間からどのように見えるかを知っていただき、マイナス・ゼータの説明はもう少し厳密にしていただきたいとお願いしておきます。

マイナス・ゼータという言い方は公認されたものではないかもしれませんが、その点はご容赦下さい。ゼータ関数にマイナスの整数値を入れると有限な値をとるとオイラーは主張しています。ζ(-1)=-1/12, ζ(-2)=0, ζ(-3)=1/120, ζ(-4)=0, . . . と続きます。これがマイナス・ゼータです。これについてはあちこちの本に載っているし、私も知っていたのですが、今回、Σn^r の一般解が見つかったので、それとの関連でマイナス・ゼータの値に疑問を抱きました。

簡単なことなのですが、私のΣn^r の公式で、rがマイナスならゼータ関数であり、プラスなら、いわゆるマイナス・ゼータになるわけです。r=2 として、代入すると、そのままマイナス・ゼータと同じことになるはずで、値を求めることが出来ます。その結果は、当たり前のことですが、r=2とすると、Σn^2 ですから、n(n+1)(2n+1)/6 となります。さて、ものの本によると、ζ(-2)=0 とのことですが、n(n+1)(2n+1)=0 ではありません。これは矛盾です。

論理の階段をたどってみますが、ζ(-2)=Σn^2 となります。これが問題なのでしょうか。これを認めた途端、n(n+1)(2n+1)=0となってしまいます。とすると、ζ(-2)=Σn^2 ではないことを説明しなければならなくなります。これは可能でしょうか。

そこで、再度検討しますが、r=-2として、ζ(r)=1+1/2^r+1/3^r+1/4^r . . . であることは当然です。これを 1+2^2+3^2+4^2+ . . . と置き換えて良いかどうかと言う問題です。BLUE BACKS の「数学21世紀の7大難問」(中村亨著)p21に、1+2^2+3^2+4^2 ... 「=」 ζ(-2)=0 という書き方が載っていました。「=」が著者なりの工夫なのでしょうが、問題点があることを認識しているということでしょうね。

さて、数学の世界に「=」という記号はありません。=なのか、それとも!=なのか、どちらかしかありません。そこで、=としてみると、n(n+1(2n+1)=0 という矛盾した結果になり、!=としてみると、1+1/2^(-2)+1/3^(-2)+ .. が 1+2^2+3^2+ ..ではないことになります。どちらも矛盾すると言うことは、私のようなど素人の結論としては、その前提となっているζ(-2)=0 が間違っているということになるのですが、どうでしょうか。

ある意味で当たり前のこの結論を大数学者が認めていないと言うことは、おそらくそれなりの理由があるのでしょうが、前ページのΣn^rの一般公式を念頭に考えると、いくら大数学者と言えども、この点については、単なる分析不足ということではないかと思えてなりません。

Σn^r = n^(r+1)/(r+1) * { 1+ su(1)*(r+1)/n + su(2)*(r+1)!/((r-1)!*n^2) +. . . } - r!su(r+1) という式がr=-1を除いて、すべての実数の範囲で成り立っていることは前ページで示しています。これをゼータ関数としてわかりやすいように書き直すと、Σ1/n^r = n^(1-r)/(1-r) * { 1+ su(1)*(1-r)/n + su(2)*(1-r)!/((-r-1)!*n^2) +. . . } - (-r)!su(1-r) となります。

k(r)=-(-r)!su(1-r) ですから、 Σ1/n^r = k(r) + n^(1-r)/(1-r) * { 1+ su(1)*(1-r)/n + su(2)*(1-r)!/((-r-1)!*n^2) +. . . } と書き直すことが出来、さらに整理してベルヌーイ数 (r=1を除いて B(r)=r!*su(r) ) で表記するなら、Σ1/n^r = k(r) - 1/((r-1)!*n^(r-1)) * { B(0)(r-2)! + B(1)((r-1)!*n) + B(2)r!/(2!*n^2) + B(4)(r+2)!/(4!*n^4) + B(6)(r+4)!/(6!*n^6) + . . . . . . } となります。

この結論が正しいことの傍証として、ζ(1/2)=-1.460354508・・・を取り上げます。この値については、杉岡HP(page117.htm)で教えてもらったのですが、「素数に憑かれた人たち」(ジョン・ダービシャー著、日経BP社)p.184に載っているそうです。おそらくオイラーと同様の計算方法を使ったのでしょう。この値を見て、私は自分で計算した値を思い出しました。つまり、http://hirokuro-web.hp.infoseek.co.jp/kousiki6.htmlで計算したように、k(0.5)=-1.460354508809586812889....となっているわけで、ζ(1/2)とまったく同じ値になっていました。ところが、私の式ではζ(1/2)はk(1/2)ではありません。非常に明瞭なことなのですが、Σ1/n^0.5 = k(0.5) + 2*n^0.5 +n^0.5/2n - n^051 * { B(2)*0.5/2n^2 + B(4)*2.5*1.5*0.5/4!n^4 + ... } となります。ζ(1/2) = Σ(1/n^0.5) ですから、ζ(1/2) = k(0.5) + 2*n^0.5 + n^0.5/2n - で計算可能となります。するとζ(1/2) は無限に発散し値を持ちません。しかし、右辺=左辺ですから、k(0.5)は収束して、k(0.5)=-1.4603545... になるというわけです。計算してみればこうなります。

ですから、再度言いますと、ζ(1/2)は発散するのであって、k(1/2)とは別の値なのです。同じように、ζ(-2)はk(-2)でないし、ζ(-3)もk(-3)ではないし、ζ(-4)もk(-4)ではありません。Σn^rの公式を見れば明瞭なのですが、従来のマイナス・ゼータの値ζ(-r)は-r!su(1+r) ということです。ベルヌーイ数表示にすると、-r!B(1+r)/(1+r)! ということです。ですから、ζ(-r)があたかも定数をとるかのごとき誤解を与えるのはきわめて不適切であることをご理解いただけることと思います。

ζ(r) と k(r) が混同された理由は、r>1 の時、極限値としてζ(r)=k(r) が成り立っているからではないでしょうか。もちろん、この等式はr>1 という条件のもとで成り立つのであって、r<1 では成り立ちません。

もっとも、従来のマイナス・ゼータの研究はk(r)の研究と言うことですから、無意味ということではありません。また、上記の分析は、解析接続などの概念を知らない素人の言い分ですので、寛容に聞いていただければと思います。






■      無限を計算する際のルールというのはあるのか? 
                 (up 2011/01/21)

無限には有限にはないルールがあるようです。なぜなら、有限のルールを素朴に適用してゆくと矛盾が生じるからです。マイナス・ゼータの矛盾は無限のルールを無視した結果起きたことではないでしょうか。

しかし、問題なのは、無限のルールというのがいまだにそれほどはっきりしていないことです。今後、そのルール作りをしていただきたいのですが、ここではそのための準備として、無限を扱う際に発生する矛盾事例をいくつか挙げておくことにします。

最も有名なのは  f(x) = 1 - 1 + 1 - 1 + 1 - 1 + 1 - . . .   という式です。
これを  f(x) = (1 - 1) + (1 - 1) + (1 - 1) + (1 - . . .   とすると、f(x) = 0 + 0 + 0 + . . .  となり、f(x)=0  となります。
f(x) = 1 (- 1 + 1) (- 1 + 1)( - 1 + 1) - . . .   とすると、f(x) = 1 + 0 + 0 + 0 . . . となり、f(x)=1 となります。
f(x) = 1 - 1 + 1 - 1 + 1 - 1 + 1 - . . .   の全体を f(x)=s と置いて、f(x)-1=s-1とすると、f(x)-1 = ( 1 - 1 + 1 - 1 + . . . ) - 1 となり、f(x)-1 = (1-1) + ( - 1 + 1 - 1 + . . .) となります。f(x) + {f(x)-1} = 0 となるので、2f(x)=1 、ゆえに f(x)=1/2 となります。
まさに何でもありの世界になってしまいます。

その他もあるはずですが、思いついたら順次追加してゆきます。









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