どうも ln(2) 以降の循環小数を使った証明は間違っているようなので、すべて撤回します。しばらくは参考までに載せておきますが、・・・出来れば、正しい証明を見つけて書き直したいと思います。






log2 が無理数であることの証明



log2 が無理数であることは自明のことですし、そもそも証明は私の分野ではないので、証明しようという気持ちになりませんでしたが、たまたまネットで見つけた log2 の証明が私には何のことか判らなかったので、自分で証明してみようという気になりました。

少し考えたところ、以下のような証明を思いつきましたが、どうでしょうか。自分では正しいように思うのですが、間違いがあるなら、指摘していただけると幸いです。



もし log2 が有理数なら log2=b/a となる自然数 a, b が存在しているはずです。そこで、log2=b/a と仮定して、矛盾を導くことにします。

log2=b/a なら 10^b=2^a です。10^bは整数なので m=10^b とおきます。つまり、m=2^a ということで、 m は2 の累乗数ということです。

mが2の累乗数とは 2 以外の素因数を持たないと言うことですが、一方、m=10^b でもあるので、mは5という素因数を必ず持つことになります。ここに矛盾が生じるので、最初に仮定した log2=b/a が成り立たないことが証明できました。



同じ論法で 一般的に log(n)が無理数であることの証明ができます。つまり、log(n)=b/a と置いて、nが10の累乗数でない限り 10^b=n^a の左辺と右辺で 必ず素因数の不一致が生じます。これは矛盾なので、最初の仮定が成り立たないことが証明されます。





√n が無理数であることの証明




√2が無理数であることの証明は「第一の広場」で紹介しています。これを一般化して、正の整数nで証明することは難しくありません。

ただし、√4=2 ですから、有理数となる√n もたくさんあるわけで、それ以外の√n が無理数であることを証明すると言うことです。

まず √n が有理数であると仮定します。√n=b/a となる正の整数 a, b が存在するということです。すると、n=b^2/a^2 となり、ここでn=b^2 ならばa=1 となり、√nは有理数となります。このようなnは除外します。これ以外のnのときは、√nが無理数となるということが証明の対象です。つまり、a=1のときは必ず有理数となるので、a>1 という条件で√nが無理数となることを証明します。

a>1 のときでも a^2*n=b^2 は成り立ちます。a と b とは互いに素ですから、素因数を共有しません。しかし、左辺のaが持つ素因数が右辺にないとこの等号が成り立ちません。ここに矛盾が生じるので、最初の仮定である √n=b/a が成り立たないことが証明できました。








ln(2) が無理数であることの証明



ln(2) = 0.69314718... = 1 - 1/2 + 1/3 - 1/4 + 1/5 - . . . であることはすでに知られています。これを次のような lta(r) という数列で表現してみます。

lta(1) = 1, lta(2) = 1-1/2 = 1/2, lta(3) = 1-1/2+1/3 = 5/6, lta(4) = 1-1/2+1/3-1/4 = 14/24, lta(5) = 94/120 , . . . lta(r) = p(r)/r! 

つまり、ln(2)=lim_[r→∞] lta(r)  ということです。

p(r)はそのつど計算しなければなりませんが、lim_[r→∞] p(r)=∞ です。r!も無限なので、分子・分母共に無限になります。しかし、どちらも一定の割合で増加するので、p(r)/r! は収束します。

さて、この収束値 0.69314... が有理数か、無理数かという問題ですが、循環小数になる気配はないので、無理数だろうという予測は簡単に付けることが出来ます。しかし、証明となると何らかの手段が必要になります。

そこで、p(r)/r! を分析することにします。lim_[r→∞] p(r)/r! = ln(2) ということです。p(r)/r! は振動しながら収束するので、rが偶数の時、必ず p(r)/r!<ln(2) となります。rが奇数の時は p(r)/r!>ln(2) となります。

さて、rはひとつづつ増加しますが、その過程でN素数になることがあります。N素数とは、前ページの「循環小数の研究」で定義したように、循環部分の位数が jn(n)=n-1 となる素数のことです。このときのp(r)はn素数rで割れません。なぜなら、p(r)/r! = lta(r-1)-1/r  であって、p(r)/r! = {r*p(r-1)-(r-1)!}/r! となり、r*p(r-1)はrで割れるのに対し、(r-1)!はrで割れないからです。このときのp(r)/r! の分母r!はr以外の因数も持っています。それらの因数が約分後にどれだけ残るかどうかはケースバイケースですが、通常はいくつか残ります。その場合、p(r)/r!の位数は 1/rとその他の因数の位数の最小公倍数となっています。ですから、必ず (r-1)より大きくなります。たとえその他の因数がなかったとしても、(r-1)と等しくなります。

次に大きいN素数の時も同じことが起こります。先のrをr1とするなら、今度のrはr2とします。1/r2 も循環小数であり、その位数は r2-1 であって、r1のときと同じ理由で、p(r2)は素数r2で割れません。それゆえ p(r2)/r2! の位数は (r2-1) と、その他の因数の位数の最小公倍数となり、必ず(r2-1) より大きくなるか、等しくなります。

次に大きいN素数 r3 の時も同じであり、1/r3 の位数は (r3-1) であり、p(r3)/r3! の位数は(r3-1) と等しいか、より大きくなります。

N素数は無限大にまで存在するので、1/r の位数(r-1)は無限大に近づきます。そして、p(r)/r! の位数も1/r に連動して大きくなり、(r-1)よりも小さいことはないので、p(r)/r!の位数も無限大に近づきます。その極限値である ln(2) は位数が無限大になる数として収束します。位数が無限大とは循環しないと言うことなので、ln(2)が無理数であることの証明となっています。





π が無理数であることの証明



πが無理数であることの証明はすでになされているようで、ウィキペディア「円周率の無理性の証明」として検索すると出てきます。ただ、この証明を見つける前に、私なりの証明を思いついていたので、その証明をご紹介します。これははたして正しい証明となっているでしょうか。
(´Д`;)

πの証明についても循環小数の位数(長さ)という理屈を使います。前ページの「循環小数の研究」を参照してください。

pi/4 = 1 -1/3 + 1/5 - 1/7 + 1/9 - ... という公式があります。これはライプニッツの公式として広く知られています。これをlta(r)という数列として理解します。つまり、lta(1)=1, lta(2)=2/3, lta(3)=13/15, lta(4)=76/105, lta(5)=789/945, ... と並びます。pi/4 = lim_[r→∞] lta(r) ということです。

さて、約分しないで考えることにして、分子はp(r)とし、分母は 3*5*7*9*11*... と並ぶ数で、最後の数をs(r)とします。すると lta(r) = p(r) / (3*5*7*....*s(r)) となります。

s(r)は奇数なので、位数がs(r)-1となるN素数と名付けた素数になる場合があります。N素数については前ページを参照してください。p(r)はN素数s(r)で割り切ることはできません。なぜなら、lta(r)=lta(r-1)+1/s(r) もしくは lta(r)=lta(r-1)-1/s(r) であり、lta(r) = {s(r)*p(r-1)+3*5*...*s(r-1)} / 3*5*...*s(r) となり、s(r)*p(r-1)はs(r)で割れるのに対し、3*5*...*s(r-1)はn素数s(r)で割り切れないからです。

この時のlta(r)は循環小数であり、その位数(循環幅)は s(r)と他の因数との最小公倍数となります。ですから、必ず s(r)-1 より大きいか、少なくとも等しくなります。

さて、次に大きなN素数s(r)を考えます。先のN素数をs(r1)とするなら、このN素数はs(r2)です。そして、1/s(r2)も循環小数であり、その位数は s(r2)-1 となります。また、lta(r2)=p(r2)/(3*5*...*s(r2)) であり、p(r2)はs(r2)で割り切れないので、lta(r2)の位数は 1/s(r2) と同じか他の因数との最小公倍数となり、s(r2)-1 と等しいか、より大きくなります。

次に大きなN素数s(r3)を考えます。1/s(r3)の位数は s(r3)-1 であり、lta(r3)の位数もそれと等しいか、大きくなります。

N素数は無限に大きくなりうるので、s(r)-1 も無限に大きくなり、lta(r)の位数もN素数の位数に連動して、こちらも無限大に近づきます。そして、π/4 は lta(r)の極限値なので位数が無限大になる数として収束します。位数が無限大とは循環しないと言うことなので、π/4 が無理数であることが証明できました。

pi/4 が無理数なら、4が有理数なので、πは必ず無理数となります。







e が無理数であることの証明



eが無理数であることの証明には e = 1 + 1/1! + 1/2! + 1/3! + 1/4! + . . . の公式を使います。

lta(0)=1, lta(1)=lta(0)+1/1!, lta(2)=lta(1)+1/2!, lta(3)=lta(2)+1/3!, lta(4)=lta(3)+1/4!, . . .  と並ぶ数列をlta(r)とします。e = lim_[r→∞] lta(r) ということです。lta(r)を約分せずに分子・分母の形で表すと、lta(2)=5/2, lta(3)=16/6, lta(4)=65/4!, lta(5)=326/5!, . . . と並びます。

分子をp(r)と書くことにすると、lta(r)=p(r)/r! となります。ここで、rがN素数の時、p(r)はrで割り切れません。なぜなら lta(r)=lta(r-1)+1/r! であり、lta(r) = (p(r-1)*r+1) / r! となるからです。このときの lta(r)は小数として考えると循環小数となり、その位数(循環部分の長さ)はrと他の因数の位数の最小公倍数なので、(r-1)と等しいか、大きくなります。

さて、次に大きいN素数を考えます。この時のN素数をr2 とするなら、先のN素数はr1 です。そして、1/r2 も循環小数となります。この位数は r2-1 となります。また、lta(r2)の位数もr2の位数と他の因数との最小公倍数なので、r2-1 と等しいか、より大きくなります。

次に大きいN素数をr3とします。1/r3 の位数は r3-1 で、lta(r3)の位数も因数の位数の最小公倍数なので、同じか、より大きくなります。

いくらでも大きいN素数を想定することが可能であり、大きなN素数であればあるほど 位数 r-1 も大きくなり、それに連動して lta(r) の位数も大きくなります。最後に lta(r) が e に収束するとき、位数は無限大になります。位数(循環部分の長さ)が無限大とは e が無理数であることを意味しています。






π+e が無理数であることの証明



「 π+e が無理数であることはまだ証明されてない 」 とのことなので、ならばトライしてみようと思います。

先の証明で使った式をそのまま使うので、再掲しておきます。

π = 4 - 4/3 + 4/5 - 4/7 + 4/9 - . . . .

e = 1 + 1/1! + 1/2! + 1/3! + 1/4! + . . .

ふたつの式を足し合わせると言っても、並び方が異なるし、プラスとマイナスが混在しているので、あまり綺麗な式にはなりません。しかし、先の証明と同じ論法で、循環小数を使った証明が可能です。

まずは分母が同じ数のところを足し合わせます。そのとき出来る項を ltb(r) という数列で表現します。ltb(0)=1, ltb(1)=4+1/1!, ltb(2)=0+1/2!, ltb(3)=-4/3+1/3!, ltb(4)=0+1/4!, ltb(5)=4/5+1/5!,. . .  とします。一般項は rが偶数の時 ltb(r)=0+1/r! で、rが奇数の時は ltb(r)=+-4/r+1/r! となります。

さて、rが奇数の時、ltb(r)を通分すると、既約前分子・分母は +-(4*(r-1)!+1)/r! となります。具体例を調べてみると、この時の分子がrで割れる事例は、rが5以上のときは見つからず、すべて素数となっています。これを何とか証明することは出来ないかと考えたところ、次のような論法を思いつきました。はたして、どうでしょうか・・・。


4*(r-1)!+1 が、rが5以上の時、必ず素数になることを証明します。rは整数です。

もし、上記の式が素数にならなかったらとして、仮定法のやり方で矛盾を導くことにより証明します。

もし、上記の式が素数でないとすると、必ず素数同士(1とそれ自身以外)を掛け合わせた素因数分解が可能になります。その素因数を s1, s2, s3, ...  とし、素因数の数を表す整数とを a, b, c, . . .  とすると、+-4*(r-1)!+1 = s1^a*s2^b*s3~c*... と表記できることになります。この時のs1という素因数は、(r-1)が4以上のとき、つまり、rが5以上の時、4*(r-1)!の中に必ず含まれているので、s1の倍数になります。ところが、左辺の第2項の1はs1の倍数ではありません。s1の倍数とs1の倍数でないものを足す(引く)とs1の倍数でない数になります。ところが右辺はs1の倍数になっています。これは矛盾です。

このような矛盾が生じるのは、最初の仮定である「上記の式が素数でない」という命題が成り立たないことを示しています。それゆえ「上記の式が必ず素数になる」ことが証明されました。


+-4*(r-1)!+1(マイナスの場合は-1を掛けてプラスにした数)はrよりは大きな素数なので、+-4*(r-1)+1 がそのまま既約後の分子となり、ゆえに、ltb(r)=(4*(r-1)+1)/r!  (rは奇数)が既約後の形となります。

具体的数字で確認してみると、ltb(5)=97/5!, ltb(7)=12881/7!, ltb(9)=161281/9!, ... となっています。ただし、ltb(3)=9/3! で素数になりません。これはrが5以下だからです。


さて、π + e = ltb(0) + ltb(1) + ltb(2) + ltb(3) + . . .  と並ぶことになりますが、これを先頭から順次足してゆく数列を作ります。この数列を lta(r)で表現します。 lta(1) = ltb(0) + ltb(1), lta(2) = lta(1) + ltb(2), lta(3) = lta(2) + ltb(3), . . .  lta(r) = lta(r-1) + ltb(r) となります。数字で表すなら lta(1)=6, lta(2)=13/2, lta(3)=32/3!, lta(4)=129/4!, lta(5)=742/5! . . . です。これは既約する前の数字で表現したものです。lta(r)の既約前分母の素因数はlta(r-1)の分母とltb(r)の素因数が含まれるので、最大素因数は必ずrになります。

さて、lta(r)を既約分数で表示することにして、lta(r) = p(r)/q(r) (p(r), q(r)は既約)と書き直しておきます。また、rが偶数の時 ltb(r) = 1/r!、rが奇数の時 ltb(r) = (+-4*(r-1)+1)/r! です。そこで、rが偶数のとき s(r)=1、rが奇数の時 s(r)=+-4*(r-1)+1 として書き直すと、lta(r) = p(r-1)/q(r-1) + s(r)/r! となります。これを通分すると、(p(r-1)*r!/q(r-1) + s(r)) / r! となります。

q(r-1)はr!を約分した数なので、p(r-1)*r!/q(r-1)は必ず整数になります。そして、q(r-1)の素因数にrが含まれないので、r!/q(r-1)という整数はrの倍数となります。それゆえ、lta(r)を通分したときにできる分子のp(r-1)*r!/q(r-1)はrの倍数です。それにs(r)を足すということは、s(r)がrの倍数ではないので、結果として、分子 p(r-1)*r!/q(r-1)+s(r) はrの倍数でなくなり、p(r-1)*r!/q(r-1)+1)/r! を既約にしたときの分母にrが残ることになります。

さて、rがN素数のとき、lta(r)の分母の素因数のひとつに必ずrが含まれるので、lta(r)を小数表示したときには循環小数となり、その循環部の長さはrの位数 (r-1) と他の因数の位数との最小公倍数となります。ですから、いくら少なくても(r-1)未満になることはありません。rを増加させて次に大きいN素数のときもlta(r)の分母にrが含まれるので、循環部の長さ(位数)は (r-1) 未満にはなりません。次に大きいN素数を考えることが出来、また、それより大きいN素数を考えることが出来、いくらでも大きいN素数を考えることが出来るので、位数は(r-1)未満にならないので、rに応じて長く、大きくなります。最終的にrが無限大となり、lta(r)が収束するとき、その収束値である π+e の位数は無限大になるので、位数が無限大とは π+e が無理数であることを示しています。







オイラー定数が無理数であることの証明




eu = 0.577215664... で、いわゆるオイラー定数です。これが無理数であることを以下のように証明してみました。

調和級数の公式から eu = 1 + B(1)/1 + B(2)/2 + B(4)/4 + B(6)/6 + . . . .  という式を導けます。(調和級数の公式については「第5の広場」を参照してください。)右辺を計算するとすぐに発散して収束しません。しかし、式としては成り立っています。


証明の前提として、B(r)=s(r)/t(r) として、s(r), t(r) がどうなるかを分析します。rは1と偶数になりますが、おもに偶数のときを扱います。

B(r) = -1/(r+1) * { 1 + C(r+1,1)B(1) + C(r+1,2)B(2) + C(r+1,4)B(4) + C(r+1,6)B(6) + . . . + C(r+1,r-2)B(r-2)/(r-2) } であることは「ベルヌーイ数について」で説明しています。

分母t(r)は通分した結果出来る数で、t(1)*t(2)*t(4)*t(6)*....*t(r-2)*(r-2)! を既約分数化したものです。t(1)の素因数が2以下、t(2)の素因数が3以下、t(4)の素因数が5以下、となっているので、t(r)の素因数は必ず (r+1) 以下となります。そして、(r+1)が素数の時は分子s(r)は(r+1)の倍数にはならず、分母に(r+1)が残ります。このことをまず証明しておきます。


■      (r+1)が素数の時、B(r)の分母は必ず(r+1)の倍数になることの証明

先の式を B(r)=s(r)/t(r)で置き換えて書き直すと、次のようになります。

B(r) = - 1/(r+1) * { 1 + (r+1)*s(1)/1/t(1) + (r+1)*r*s(2)/2!/t(2) + (r+1)*...*(r-2)*s(4)/4!/t(4) + (r+1)*...*(r-4)*s(6)/6!/t(6) + . . . . + (r+1)*....*4*s(r-2)/(r-2)!/t(r-2) }

これを整理して、{  } の中を通分したときに出来る分子・分母(既約前)を w(r)とv(r)とします。B(r)=-1/(r+1)*w(r)/v(r) ということで、既約にした後の分子がs(r)、分母がt(r)ということです。

分母v(r)を整理すると  v(r) = t(1) * t(2) * t(4) * t(6) * . . . * t(r-2) * (r-2)!  となります。w(r)は少し複雑ですが、 w(r) = v(r) + (r+1)*s(1)*v(r)/t(1) + (r+1)*r*s(2)*v(r)/t(2) + (r+1)*...*(r-2)*s(4)*v(r)/t(4) + . . . .  となります。この式の中に v(r)/t(4) のような部分が現れますが、これは v(r)/t(4) = t(1) * t(2) * t(6) * t(8) * . . .  ということで、そのまま書くのが面倒なので、左辺の表記にしただけで、整数を意味しています。それゆえ、w(r)全体は整数となっています。

このw(r)の先頭にあるのがv(r)です。v(r)の素因数はたくさんありますが、t(r-2)以下と(r-2)!から出来ているので、素因数は(r-1)以下ばかりであり、r以上の数が含まれることはありません。それゆえ、v(r)は(r+1)の倍数にはなりません。2番目以降の式には(r+1)がすべて含まれているので、(r+1)の倍数となっています。(r+1)の倍数と(r+1)の倍数でない数を足すと、(r+1)の倍数でない数になります。それゆえ、w(r)は(r+1)の倍数ではありません。分母v(r)も(r+1)の倍数ではありません。しかし、B(r)の式の先頭に 1/(r+1) が付いています。この(r+1)が分母t(r)に含まれることになりますが、(r+1)が素数でないときは、それに含まれる素因数が w(r) にある場合、約分可能になってしまいます。

そこで、(r+1)が素数であるという条件を付けておきます。(r+1)が素数なら、素因数が1と(r+1)だけになるので、B(r)=-1/(r+1)*w(r)/v(r) を整理して既約分数にしたときも、(r+1)がそのまま分母t(r)に残ることになります。ゆえに、t(r)は必ず(r+1)の倍数になります。


■      lta(r)の素因数分析

さて、以上のB(r)の素因数の法則を使ってlta(r)の素因数を分析することにします。lta(r)=p(r)/q(r)という既約分数で表現することにします。B(r)=s(r)/t(r) で、これも既約分数です。

eu = 1 + B(1)/1 + B(2)/2 + B(4)/4 + B(6)/6 + . . . .  を数列 lta(r)として考えます。lta(1)=1+B(1)/1, ita(2)=lta(1)+B(2)/2, ita(4)=lta(2)+B(4)/4, . . . と定義します。eu = lim_[r→∞] lta(r) ということです。数字で表してみると、lta(1) = 1/2 = 0.5, lta(2) = 7/12 = 0.583333..., lta(4) = 23/40 = 0.575, lta(6) = 1459/2520 = 0.578968254..., lta(8) = 2897/5040 = 0.5748015873, . . .  となり、徐々に eu=0.5772156... に近づいてゆくのが判ります。もっとも、ベルヌーイ数は振動発散するので、このあとすぐに増加に転じ、収束することはありません。しかし、調和級数の公式から直接導いているので、式としては成り立っています。

lta(r) = lta(r-2) + B(r)/r なので、lta(r) = p(r-2)/q(r-2) + s(r)/r/t(r) と書き直すことが出来ます。lta(1) = 1 + B(1)/1 で、既約前の最大分母は B(1)と一致して2となります。lta(2) = lta(1) + B(2)/2 で、既約前分母は12となり、素因数は2,3となります。lta(4) = lta(2) + B(4)/4 で、lta(4)の既約前分母は q(2)*t(4)*4 となります。q(4)は既約にしたときの分母なので、q(2)*t(4)*4 と必ずしも一致するとは限りませんが、少なくとも同じか、それ以下であり、素因数は必ずq(2)*t(4)*4 の範囲内、つまり、最大の素因数を持つのはt(r)なので、その最大素因数である5、それ以下の数が候補に挙がってきます。

q(6)の場合は、q(4)*t(6)*6 なので、素因数は7以下になります。以下同様に、q(r)の素因数は(r+1)以下となります。

さて、lta(r) = lta(r-2) + B(r)/r のとき、lta(r) = p(r-2)/q(r-2) + s(r)/r/t(r) ということで、q(r-2)の素因数はすべて(r-1)以下であり、t(r)の素因数は(r+1)以下です。これを通分すると、{ p(r-2)*r*t(r) + s(r)*q(r-2) } / q(r-2) / r / t(r) となります。

さて、(r+1)が素数の時を考えます。(r+1)が素数の時は t(r)が(r+1)の倍数になることは先に証明しました。ですから、p(r-2)*r*t(r)は(r+1)の倍数です。第2項のs(r)*q(r-2)は、s(r)が(r+1)の倍数ではなく、また、q(r-2)の素因数はすべて(r-1)以下なので(r+1)の倍数にはなりません。(r+1)の倍数と、倍数でない数を足すと、倍数でない数が出来上がります。つまり、分子p(r)は(r+1)の倍数にはなりません。

分母のt(r)は(r+1)の倍数であり、これは既約分数にしたときも残ります。ゆえに、lta(r)=p(r)/q(r) のp(r)が(r+1)の倍数でなく、q(r)は(r+1)の倍数となるので、(r+1)で約分できず、分母に(r+1)が必ず残ることになります。

さて、(r+1)がN素数の時も、上記の法則は成り立ちます。ゆえにN素数を素因数として分母に持つlta(r)は循環小数であり、その循環の長さ(位数)は(r+1)を含む素因数の位数の最小公倍数となるので、必ずrと等しいか、大きくなります。

(r+1)が次に大きいN素数の時を考えます。この時の lta(r)の分母にも(r+1)が残るので、位数は必ずrと等しいか、より大きくなります。次に大きいN素数のときも同じです。N素数は無限大にまで存在するので、(r+1)は無限に大きくなり、それに連れて位数rも無限大になります。

N素数以外の素数の位数も lta(r)が大きくなると、rよりは小さいとしても、rに連動して大きくなる傾向にあり、しかも、位数は、他の因数との最小公倍数なので、さらに大きな数になります。結果的に、N素数以外のときも無限大に近づき、位数も無限大になります。

オイラー定数euは lta(r)の極限値で、循環小数の位数が無限となったときの値ですから、有理数(循環部が有限)であることはなく、無理数であることが証明されました。







e^2 が無理数であることの証明



最近知ったのですが、e のことをネピア数と言うそうですね。みなさんご存じなのでしょうか。・・・とにかく、eの計算式は以下のものです。これの二乗ということですから、単純に考えて、そのまま二乗してみました。

e = 1 + 1/1! + 1/2! + 1/3! + 1/4! + . . .

e^2 = { 1 + 1/1! + 1/2! + 1/3! + . . . . } ^2

e^2 をこのまま計算すると 1 + ( 1/1! + 1/1! ) + ( 1/2! + 1/1!/1! + 1/2! ) + ( 1/3! + 1/2!/1! + 1/1!/2! + 1/3! ) + ( 1/4! + 1/3!/1! + 1/2!/2! + 1/1!/3! + 1/4! ) + . . . . と並べることが出来、これを整理すると、 1 + ( 1 + 1 ) /1! + ( 1 + 2 + 1 ) /2! + ( 1 + 3 + 3 + 1 ) /3! + ( 1 + 4 + 6 + 4 + 1 ) /4! + . . . . と並びます。括弧の中は二項定理の係数になっていて、それぞれ合計すると、1 + 1 = 2 , 1 + 2 + 1 = 4 , 1 + 3 + 3 + 1 = 8 , 1 + 4 + 6 + 4 + 1 = 16 , . . .  と2の累乗数となっています。

以上を纏めると、e^2 = 1 + 2/1! + 4/2! + 8/3! + 16/4 ! + 2^5/5! + 2^6/6! + . . . となります。

これを数列として考えて、lta(1) = 1 + 2/1!, lta(2) = lta(1) + 4/2!, lta(3) = lta(2) + 2^3/3!, . . . lta(r) = lta(r-1) + 2^r/r!  とします。lta(1)=3, lta(2)=5, lta(3)=19/3, lta(4)=7, lta(5)=109/15, lta(6)=331/45, lta(7)=155/21, lta(8)=2327/315, lta(9)=20947*2^7/9!, lta(10)=104739*2^8/10!, . . . と並んでいて、 e^2 = lim_[r→∞] lta(r) ということです。

lta(r)=p(r)/r! とします。この時のp(r)は既約前の分子です。たとえば、lta(2)=5*2/2! で、p(2)=10なので、約分可能になります。しかし、ここでは分母がr!になるように纏めておきます。p(r)がどうなるかは計算してみないと判りませんが、rが3以上の素数の時、rで割り切ることが出来ないことは以下のように証明できます。

lta(r-1)=p(r-1)/(r-1)!、 lta(r)=lta(r-1)+2^r/r!  です。 これを通分すると、lta(r) = (p(r-1)*r + 2^r) / r! となります。rを素数とすると、p(r-1)*rはrの倍数で、2^r はrの倍数ではありません。また、素因数も共有しません。ゆえに既約にしたときにも分母にrが残ります。

rがN素数のときを考えます。N素数は素数のひとつなので、lta(r)の分母にrが残ります。そして、lta(r)を小数として考えたとき、その循環部分の長さ(位数)はN素数の位数と他の因数の位数との最小公倍数なので、 (r-1) と等しいか、より大きくなります。

N素数rよりも大きいN素数を考えます。これをr2とすると先のN素数はr1です。lta(r2)においても同じことが言えて、lta(r2)の分母にr2が残るので、この循環小数の位数は (r2-1) と等しいか、より大きくなります。

次に大きいN素数r3の場合も同じで、lta(r3)の分母に残るので、(r3-1) と等しいか、より大きくなります。

N素数はいくらでも大きな数を想定できるので (r-1)という位数はどんどん大きくなり、rが無限大になると位数も無限大になります。

rが無限大になり、e^2が収束したとき、lta(r)の位数(循環部分の長さ)が無限大になるということは、この小数が循環小数でないということになり、e^2が無理数であることが証明されました。






e^n が無理数であることの証明



e^n という一般的累乗数でも証明可能です。

e^n = { 1 + 1/1! + 1/2! + 1/3! + . . . . } ^n

という式になります。右辺を展開して纏めると、意外と綺麗な式にまとまりました。

e^n = 1 + n/1! + n^2/2! + n^3/3! + n^4/4! + . . .  

これを数列として考えます。つまり、e^n = lim_[r→∞] lta(r,n)  となるような数列 lta(r,n) を定義します。 lta(1,n) = 1 + n/1!,  lta(2,n) = lta(1,n) + n^2/2!,  lta(3,n) = lta(2,n) + n^3/3!, . . .   lta(r,n) = lta(r-1) + n^r/r!  となります。

lta(r,n) = p(r,n)/r! となるように p(r) を定義すると、p(r,n) = r! +r!*n + r!/2*n^2 + r!/3!*n^3 + . . . + n^r と纏めることが出来ます。この式の中に出てくるr!/3! などの箇所は必ず整数となります。また、r!はrの倍数で、r!/1!, r!/2!, r!/3!, . . . もrの倍数となります。しかし、最後のn^rのところはr!/r!となり、rが消えてしまうのでrの倍数になりません。 (この場合、nがrのときだけはrの倍数になりますが、rは順次大きくなる数なのでnをスキップすることは可能です。もしくはnよりも大きいrから計算し始めると問題はなくなります。) それゆえ、rの倍数とrの倍数でない数を足すことになり、結果的にp(r,n)はrの倍数にはなりません。

さて、rがN素数のとき、lta(r,n) = p(r,n)/r! で、p(r,n)はrの倍数ではないので、既約後にもrが分母に残ります。そして、lta(r,n)を小数表示するとき、循環小数となり、その循環部の長さ(位数)は (r-1) と、その他の因数の位数との最小公倍数となるので、最小でも(r-1)と等しいか、より大きくなります。rより大きい次のN素数をr2として、lta(r2)を考えます。すると、これも循環小数となり、その位数は (r2-1) と等しいか、より大きくなります。次に大きいN素数r3の場合も同じで、lta(r3)の位数は (r3-1) と等しいか、より大きくなります。rはどこまでも大きくすることが可能なので lta(r)の位数はどんどん大きく長くなります。そして、e^nに収束するとき、rが無限大になるので、位数も無限大になります。つまり、循環部が無限の長さと言うことは循環しないと言うことなので、e^nは循環小数にはならず、無理数ということが証明されました。





log(e) が無理数であることの証明



log(e)が無理数であることは e^nが無理数であることから直ちに導けます。

log(e)が有理数と仮定すると、log(e)=b/a となる正の整数 a, b が必ず存在します。a, b は互いに素です。このとき、logの定義から 10^(b/a)=e と変形することが出来ます。さらに 10^b=e^a を導くことができます。

10^b は必ず整数になります。eは無理数ですが、e^nも無理数になることは先ほど証明しました。左辺は整数で、右辺が無理数というのは矛盾です。このような矛盾が生じるのは、最初の 「log(e)が有理数である」 という仮定が間違っていることを意味しています。ゆえに、log(e)は無理数であることが証明できました。






■      履歴 

09/12/11    新規UP
09/12/22    一部、基本的誤解があったので、訂正しました。




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