Σ1/n^r ( r<1 の時) の公式


Σ1/n^r (r<1) については研究済みと思っていましたが、よく考えると、まだ手を付けていませんでしたので、さっそく多桁計算ソフトを使って、どうなっているか研究してみました。その結果、何のことはない、Σ1/n^r (r>1) と同じであることが判明しました。ただし、推測にもとづく式を使って計算した結果、計算上は問題ないレベルであるということであって、確実にするためにはもう少し研究が必要です。

さて、推測が少し入っているとは言え、結論にそう間違いはありません。Σ1/n^r (r>1) の式を再度載せておきます。
Σ1/n^r = k(r)-1/(r-1)/n^(r-1) + 1/2/n^r - r/12/n^(r+1) + 0 + r*(r+1)*(r+2)/30/4!/n^(r+3) + 0 + ...
これをベルヌーイ数で表わすと、
Σ1/n^r = k(r) - 1/(r-1)!/n^(r-1) * { B(0)(r-2)! + B(1)(r-1)!/n + B(2)r!/2!/n^2 + B(4)(r+2)!/4!/n^4 + B(6)(r+4)!/6!/n^6 + B(8)(r+6)!/8!/n^8 . . . . . . }
となります。

さて、r<1 の場合ですが、たとえば r=0.9 の場合、上記の式に代入すれば答えが出ます。
Σ1/n^0.9 = k(0.9) - 1/(-0.1)!/n^(-0.1) * { B(0)*(-1.1)! + B(1)*(-0.1)!/n + B(2)*0.9!/2!/n^2 + ....
これを整理すると、
Σ1/n^0.9 = k(0.9) + 10*n^0.1 +n^0.1/2n - n^0.1 * { B(2)*0.9/2/n^2 + B(4)*2.9*1.9*0.9/4!/n^4 + B(6)*4.9*3.9*2.9*1.9*0.9/6!/n^6 + ....
となります。これで k(0.9) が計算可能となります。

k(0.9)=-9.430114019402252372298....
k(0.5)=-1.460354508809586812889....
k(0.1)=-0.6030375198562417152484....

k(r)の構造は、k(r)=-1/(1-r) + eu-0.072815...*g(r) となっています。
rが1に近づくとき、k(r)=-1/(1-r) + eu + a*(1-r) + b*(1-r)^2 -...... となり、a=-0.072815..., b=0.00484518159.... となります。これは rが2から1に近づく時の式に似ています。
rが0に近づくとき、k(r)=-1/(1-r) + 1/2 + a/r + b/r^2... となり、a=0.08107..., b=-0.003178 となります。

Σ1/n^r (r<1) は無限大に発散するにもかかわらず、r>1 の収束する式と同じなのは、とても不思議な感じがします。また、なぜr=1の時だけ式が異なるのかも不思議です。



Σn^r ( rが実数の時)

さて、-1<r<0 の分析で、rが実数の時すべてがカバーされたことになります。r>0が私が最初に研究した数列であって、r<-1 の時がゼータ関数であり、r=-1 が調和級数、-1<r<0 がこの頁の公式になります。どの公式もベルヌーイ数と深く関係していて、オイラー定数とも関係があります。

このrを複素数まで広げたときの分析にゼロ点が登場し、それがリーマンの零点となるようなのですが、今後はそのあたりのことも研究してみようかとも思いますが、複素数については今までまったくやっていないのでイメージが湧きません。もう少し実数の範囲で遊んでみたいと思います。

ひとつ気がついたことを書いておきます。r<-1と-1<r<0の式は同じ形であることはすでに指摘しましたが、どうもr>0まで同じ可能性があることが見えてきました。まったく同じと言えるかどうかは、今後の研究対象ですが、少なくともよく似ています。どのように似ているかを以下に示しておきます。

r=-0.1として見ましょう。これはΣ1/n^0.1のことですから、公式に代入すると、Σ1/n^0.1 = k(0.1) + n^0.9/0.9 + n^0.9/2n - n^0.9*(0.1)/12n^2 + n^0.9*(2.1)(1.1)(0.1)/720n^4 - ....  となります。ところが、これをΣn^rの式にそのまま代入するとほとんど同じ式が登場します。Σn^(-0.1) = n^0.9/0.9 + n^0.9/2n + n^0.9*(-0.1)/12n^2 + n^0.9*(-0.1)(-1.1)(-2.1)/720n^4 + .... -(-0.1)!*su(0.9)  となります。両者を比較すると、左辺は定義からして同じことであり、右辺は、nの式がすべて一致して残るは、k(0.1)と-(-0.1)!su(0.9)のみとなります。両者がイクオールとするなら、k(0.1)=-(-0.1)!su(0.9)が成り立つことになります。これを一般化すると、
k(r) = -(-r)!su(1-r)  ということです。これは結構重大な結論ではないでしょうか。ベルヌーイ数表示にすると、k(r) = -(-r)!B(1-r)/(1-r)! となります。もちろん、この結果は、無限を介してのイクオールですから、そのまま正しいと認識してはなりません。いくつかの仮定を前提にした上で成り立っている暫定式だということです。

r=0.1として計算してみると、k(0.1) = -0.60303751...で、(-r)! = 1.0686287... なのに対して、su(0.9) は無限大ですから、式は成り立ちません。su(r)は、別ページで示しているように sin(pi*r/2-pi/2) * 2/(2*pi)^r { 1+ (1/2)^r + (1/3)^r .... } ですから、発散してしまいます。このような場合、式が間違っている可能性もあるのですが、何か解釈が足りないことも多々ありますので、さらに検討を加えてみたいと思っています。

ついでに、もう少ししつこく上記の問題を追求しておくと、sin(pi*(1-r)/2-pi/2) * 2/(2*pi)^(1-r) も有限化しますから、無限の項目を左辺に移し、Σ1/n^(1-r) = -k(r) * (2pi)^(1-r) / {2 * (-r)! * sin(pi*(1-r)/2-pi/2) } としておきます。そしてr=0.1を代入すると、計算上 k(0.1) = -0.60303751 で、右辺 = -9.430114039となり、計算上のk(0.9) = -9.4301140 に一致します。Σ1/n^0.9 は発散するので、このイクオールは成り立たないはずですが、少なくともΣ1/n^0.9 = k(0.9) + n^0.1/0.1 + ....となるように、k(0.9) という定数項目は現れるので、単なる偶然の一致ではないはずです。

この奇妙な一致は、数学的にはどこかがおかしいのですが、これを無理矢理前提にしてしまうと、k(r) = -(-r)! * sin(pi*(1-r)/2-pi/2) * k(1-r) * 2/ (2pi)^(1-r) という式が出てきます。そこで、r=0.5を代入すると、k(0.5)が消えて、(-0.5)!=√piが登場します。やったという感じですね。
(^^) 無理矢理とは言うものの、こういう結果になるということは、「どこかがおかしい」という認識のほうを訂正しなければならなくなります。

さらに検討すると、k(1-r) = -(r-1)! * sin(pi*r/2-pi/2) * k(r) * 2/(2pi)^r ですから、k(r)が消えて、r! と sin の式だけとなります。これを整理すると、(-r)! = pi*r/{ 2* r! * sin(pi(1-r)/2-pi/2) * sin(pi*r/2-pi/2) } が導けます。この中のsinの式は纏めることが出来、sin(pi*r)/2ですから、 (-r)! = r*pi / r!sin(r*pi)  という結構綺麗な式になります。これは(-r)!がr!から計算できることを示していて、やや非現実的なようにも感じますが、r=0.5を代入してみると、(-0.5)!=pi/(2*(0.5)!) となり、(-0.5)!=√piになりましたが、つまりは 0.5! = (√pi)/2 ということです。計算上も 0.5! = 0.886226925... となるので、式は正しいのですが、はたしてこの式は知られているのでしょうか。「私の発見」とでも言いたくなる結論が出て、非常に喜んでいます。(^^) r=2.1としてみると、左辺は (-2.1)! = 9.7148063829... で、右辺は r*pi/r!sin(r*pi) = 9.7148063829.... で、完全に一致しています。

階乗の公式には√があるので、マイナスだと虚数になるのですが、n+100などの数にして階乗を計算し、後からnに戻すというプログラムで、この問題を解消しています。ただ、これだと-1000などの時には計算できなくなります。そういう計算をする必要は今のところないので、問題はありませんが、先の(-r)!の公式を使ってプログラムを作ると、理論上、あらゆる場合に対処できるプログラムになります。たいしたメリットではありませんが、近い内に書き換えておこうかと思っています。

さて、先に「su(0.9)は無限大」と発言しましたが、su(0)=1ですから、「su(0.9)が無限大」というのは間違いとしなければなりません。ところが、su(r) = sin(pi*r/2-pi/2) * 2/(2*pi)^r { 1+ (1/2)^r + (1/3)^r .... } ですから、この式を前提にするとsu(0.9)は-∞ですし、su(0)も-∞になります。これはsu(r)の定義に反しているので、間違っているのはこの式の方であると判定できます。ですから、正確に表現するなら、r>1において、上記の式が成立するのであって、su(0.9)は別途計算しなければなりません。少なくとも、su(0.9)=-∞という理解は間違っていると言えます。su(0)=1ですから、おそらくsu(0.9)も有限の値を取るはずです。そして、その計算方法として、k(r) = -(-r)! * su(1-r)を使うことが出来ると理解するのが妥当でしょう。su(0.9) = -k(0.1)/(-0.1)!であり、su(0.9) = -0.5643096..となりました。そして、su(0.9) * (2pi)^(0.9) / { 2 * sin(0.9*pi/2-pi/2) } を計算すると、-9.430112..となり、k(0.9)と一致すると言うことです。

いくつか試してみましたが、0<r<1 のとき、k(r) = su(r) * (2pi)^r / { 2 * sin(r*pi/2-pi/2) } と一般化して差し支えないみたいです。もっとも、考えてみると、もともと su(r) = sin(pi*r/2-pi/2) * 2/(2*pi)^r * { 1+ (1/2)^r + (1/3)^r + (1/4)^r + .... } であり、k(r) = 1 + 1/2^r + 1/3^r + 1/4^r なのですから、考えるまでもない当たり前の結論だったみたいです。(^^;;  ただし、rが3以上の奇数の時、su(r)=0ですから、su(r) = sin(pi*r/2-pi/2) * 2/(2*pi)^r * k(r) という公式を基本としなければなりません。これについては、すでに述べています。

とすると、Σn^r = n^(r+1)/(r+1) * { 1+ su(1)*(r+1)/n + su(2)*(r+1)!/(r-1)!/n^2 +. . . } - r!su(r+1) という式がr=-1を除いて、すべての実数の範囲で成り立っていることになります。


なお、k(r)はr>0で定義されていて、r<0の時は微妙な問題があるのですが、一応、計算上は k(1-r) = -k(r) * (r-1) ! * 2 * cos(pi*r/2) / (2pi)^r となります。sin(r*pi)/sin(r*pi/2)=2*cos(r*pi/2) となるようです。su(r)とsu(1-r) も対応していますので、等式で結ぶことが出来ます。ただ、無限になるところがいくつかあるので、もう少し慎重に検討したいと思っています。









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