派生した公式(その4)




■      kv_th(s),  kv_th_dif(s) の分析
                           (updated 22/04/26)


前頁で kv(s)角度完全公式を説明してありますが、やや分かりにくいので、ここで別のやり方で説明し、あわせて、角度を微分した kv_th_dif(s) も解説することにします。

a=0 のとき、kv(s)の角度公式 k_th(0+b*i) が綺麗な形になることは前頁で説明してあります。

kv_th(0+b*i) = b*ln(b) - b*ln(2*pi*e) - pi/4 - 1/12b - 1/360b^3 - 1/1260b^5 - 1/1680b^7 - . . .

ベルヌーイ数を使うと   b*ln(b) - b*ln(2*pi*e) - pi/4 - B(2)/(1*2)/b + B(4)/(3*4)/b^3 - B(6)/(5*6)/b^5 + B(8)/(7*8)/b^7 - . . .  となります。

これを微分すると ln(b) - ln(2*pi) + B(2)/2b^2 - B(4)/4b^4 + B(6)/6b^6 - ... という綺麗な式になります。





■      k_th(s) を a=0 の式を使って表現すると


kv_th(s) は a=0.5 を基軸として左右対称なので、a=0 と a=1 は同じ式になります。これが綺麗な式で著されるので、a=2, a=3, a=4 ... も何らかの式に表現できるはずという予測のもとに計算してみます。そこで、a=1 との差を求めてみます。つまり、kv_th(a+b*i) - kv_th(1+b*i) の式を求めるということです。

a=2 のとき、 -1/b + 1/b^3 - 1/b^5 + 1/b^7 - ....

a=3 のとき、 -3/b + 3/b^3 - 66/10b^5 + 129/7b^7 - ....

a=4 のとき、 -6/b + 12/b^3 - 276/5b^5 + 330.85/b^7 - ....

a=5 のとき、 -10/b + 100/3b^3 - 260/b^5 + 2671.39/b^7 - ....


法則性がありそうな数になりました。b^r の大きいところではなかなか確定してくれないので、この表を見ながら考えることにします。


b, b^3, b^5, b^7... と並んでいるので、この先が b^9, b^11 ... となることが予想されます。

b^3 で 100/3 が登場し、b^5 で 276/5 が登場し、b^7 で 129/7 が登場しているのが目に付きます。ならばこれで整理してみます。すると、a=3 のとき、プラス・マイナスを無視した分子は 3, 9 ,33, 129 ... と並びます。これは 2, 8, 32, 128 ... と並ぶ 2^r に1を加えた数になっています。a=4 のときは、6, 36, 276, 2315,95 ... と並びます。これは 3^r に前の列の数を加えたものなっています。つまり、3+3=6, 3^3+9=36, 3^5+33=276, 3^7+129=2316/7, ... となります。

これが普遍的に成り立っていることは、a=5 の列で検証できます。D(p,q) とすると、a=5 の並びは D(5,1)/b, D(5,2)/3b^3, D(5,3)/5b^5, D(5,4)/7b^7, ... と並びます。このとき、D(5,1)=10 ですが、これは 4^1+6=10 となります。D(5,2)=100 で、これが 4^3+D(4,2)=100 と一致します。D(5,3)=260*5 で、4^5+D(4,3)=1300 と一致します。D(5,4)=2671.39*7 ですが、4^7+330.85*7=18699.95 となっています。

この法則は a, b が無限大に続くまで成り立ち、しかも収束します。これと kv_th(1+b*i) を足すことにより kv_th(s) を確定させることができます。





■      kv_th_dif(s) を a=0 の式を使って表現する


kv_th_dif(s) は kv_th(s) のb方向(縦)での微分式です。これも kv_th(s) と同じように計算します。a=1 は綺麗な公式になっているので、それを基準に a=2, a=3, a=4 ... と、a=1 の微分式との差を計算してみます。

a=2 のとき、1/b^2 - 1/b^4 + 1/b^6 - 1/b^8 + ... という式になりました。

a=3 のとき、3/b^2 - 9/b^4 + 33/b^6 - 129/b^8 + ....

a=4 のとき、6/b^2 - 36/b^4 + 276/b^6 - 2316/b^8 + ...

a=5 のとき、10/b^2 - 100/b^4 + 1300/b^6 - ....

a=6 のとき、15/b^2 - 225/b^4 + .....


係数に法則がありそうなので D(p,q) という形で表記することにします。a=2 のときの式は D(2,1)/b^2 - D(2,2)/b^4 + D(2,3)/b^6 - ... ということです。 a=3 は D(3,1)/b^2 - D(3,2)/b^4 + D(3,3)/b^6 - ....  以下同じです。

このとき、D(p,q) = (p-1)^(2q-1) + D(p-1,q) となっていることが確認できます。たとえば、D(4,3) のとき、3^5+D(3,3) = 276 となります。D(4,4) = 3^7+D(3,4) = 2316 となります。

この法則は a, b が無限大に至るまで成り立ちます。











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